もし皆さんが、「〇月□日から3泊の予定で沖縄に旅行に行く」とします。
その時、皆さんはどんなことを気にしますか?
沖縄までの工程(移動手段)
当日の天気予報
沖縄のスポット検索
帰宅予定日の天気予報
持ち物
等ですね。
まさか、アメリカの天気予報を調べる人はいないでしょうし、日本の国会の議事を気にする人はいないでしょう。
おのずと必要な情報を取捨選択する能力を身に付けているからですし、
その情報を手に入れる術(スキル)をもっているからです。
その結果、実践力として旅行に行くことができます。
この能力は黙っていて磨きがかかるものでしょうか。
3泊4日の旅行に、コンテナ1つの着替えが必要ですか?
季節によって選択する服装も違うはずです。
何も持たずに現地で調達。
という人もいるかもしれません。
私は、こういう能力、判断力を身に付けるために必要な能力が、
「はてな力」と「ねらい力」だと思います。(この言葉は存在しませんが、私が定義付けた俗語です)
ある事象を目の当たりにしたときに、「どうなってるの?」「どうしてなの?」
と不思議に思う力が「はてな力」
そのはてなを解決するために、「こうしてみよう」と
目標を定める力が「ねらい力」です。
この力を学校で培うとしたとき、どんな手立てがあるでしょうか?
そんな問いに焦点を当てた取組がありました。
この写真、プリンです。
これは、低学年の家庭学習で紹介されたものです。
学級通信によると、
このプリンを作った子には、目的がありました。
自主課題(じぶんできめたねらい・めあて)がノートに書かれています。
「レベルアップの料理をがんばる」
としたそうです。
どの点がこの子にとってレベルアップかというと、
「クリームをしぼる」だそうです。(クリームを三角形にするみたいな具体が出るともっといいですね。)
こうした家庭での取組を視覚化するだけで、「家庭学習」として成立していると思います。
ノートには、作ってみた後の「振り返り」も書かれています。
もう一人。
漢字の練習を自主学習に選択したようです。
「はね、とめに気を付けて書く」
というめあてを設定しています。
担任は、その視点でチェックしています。
最後に、この子がそのねらいに向けて取り組んだ結果、どんな変容があったか、自分で振り返っています。
今後、どのような場で生かそうとしているかを振り返ってもいいでしょう。
2つの取組に共通しているのが、
「こうしよう」という目標・ねらいの設定で、その目標を自分で決めているということです。
そして、自分の取組を振り返り、文章という形で視覚化しています。
このような、自主学習を地道に進めたり、
はてなを見付け、こうしようというねらいをさだめ、解決の手段をさぐり、結果をまとめて分析する
という学びのサイクルを、毎日の授業で身に付けることが、求められています。
宿題として、「漢字を10個ノートに書き写す」というより、「同じ漢字を10個使って文を作る」というほうが、楽しいですし汎用性があります。
宿題として、「家であった出来事を文章にしなさい」とするより、
「お手伝いするときの大変な点とは?」というような視点を自己設定したほうがやらされ感は減るはずです。
「物は考えよう」とはよく言ったもので、これは、
「ものを見るときは違う角度で、異なる視点でみたほうがいい」ということです。
その感覚を求められているのは、子供たちより、まずは大人たちなのかもしれません。