2024年7月の記事一覧

朝から話す・笑う

 私はこの数週間、出勤して朝の過ごし方を変えたことがあります。

職員室前、もしくは玄関で登校してきた子供たちを迎えるようにしました。

「おはようございます。」

と言ってくる子だけとは限りません。

「・・・。」

無言で玄関に入ろうとする子。

 

一度玄関に入って、また外に出てきて私に話しかける子

など様々。

 

とにかく声を掛けるようにしています。

反応させるためです。

 

玄関前で、虫の死骸に気付き、

「なんでバラバラになってるんだ?」

と不思議に思っている子もいます。

なかなか教室へ向かおうとしない子には、公務補や見守り隊の地域の方が、

「そうそろ入りなさい。」

と促したりしています。

 

朝の様子を観察すると、家を出るまでの様子が見えてきます。

あくびをしている子や、にこにこして挨拶する子。

 

その日の子供たちの様子を把握するには、ベストな時間かもしれません。

一日の好スタートをきるためにも、

家庭での基本的な生活習慣を大切にお願いします。

素直な思いを言葉と行動で

 子供の心は、行動、言葉にすぐ表れます。 

2つの事例を紹介しましょう。

 

①ある日、給食をとったあと、私は校長室で校務にあたっていました。

休み時間だったので、子供たちが廊下で会話する声が聞こえてきます。

 

そんなときのことです。

給食センターの職員の方が、子供たちの給食カートを片付けにきました。

すると、どこからか、

 

「いつも、おいしい給食をありがとうございます!」

 

という言葉が、廊下から聞こえたのです。

私は、すぐに廊下に出ました。

『今の素敵な言葉、だれですか?』

 

その場にいた先生が、図書室を指差して教えてくれました。

「〇〇さんです。」

「素敵な言葉だねぇ!!!

 聞いていた校長先生もうれしくなったよ。」

 

その言葉を言われたセンターの方も、

「そうかい? ありがとね!!」

とお返しの言葉がありました。

 

飾らない素直な言葉は、私の気持ちもすっきりさせてくれました。

 

②先日、学校にお客様がいらっしゃいました。

渚滑駐在所のおまわりさんです。

「防犯教室」の講師として、ネットトラブル、不審者対応についてお話いただだきました。

 

1~3年生の不審者対応の学習を始めるまで、子供たちと雑談です。

「〇〇くんは、将来、警察官になりたいのかぁ。

 どうして?」

など、気さくな会話をしてくれます。

子供たちは、たのしく学習を進めることができました。

学習を終え、講師の方が玄関へ足を進めていると、

子供たちも一緒に玄関へ移動します。

 

「お見送りをしよう。」などの呼び掛けはしていませんが、

子供たちが声を揃えて、

「いくぞ!」

と見送るのです。

ありがとうございましたぁ!!

「わざわざ、玄関までお見送りしてくれるなんて…。」

おまわりさんも恐縮しています。

 

子供たちが素直な気持ちを行動に表すとき、

周りの雰囲気を明るくしてくれるのです。

 

遊びから学びの連鎖

 最近、虫網を持って野原を駆け回る子を見なくなったなぁ…。

…と思っていたここ数年。

渚滑小に赴任するとその考えが飛んでいきました。

休み時間、私が廊下を歩いていると、一年生の子が、

「校長先生…、いっしょに虫取りにいかない?」

とつぶやいてきました。

 

「お! いいねぇ!!」

 

早速、虫網を手に取って外へ出ました。

快晴の暑い日中でしたが、私も数年ぶりに手にする虫網に興奮気味。

蝶を追いかけ、グラウンドを行ったりきたりしています。

その移動距離と言ったら、結構なものです。

短距離走を何本もするよりも、虫を追いかけたほうが体力がつきます。

 

つかまえたぁ!!

 

興奮した男の子の叫び声が聞こえました。

でも、網に入った虫をそのあとどうしたらいいのか分からず、

逃げてしまいました。

 

あぁ~…。

「捕った後ね、網をこうしたら逃げないよ。」

へぇ…!!

 

こうした体験は忘れないものです。

そして、捕まえた蝶を誰かに見せたいのです。

「すごいねぇ~、なんていう蝶なんだろう…。」

 

その言葉に、学びの連鎖がスタートします。

図書室へ行って図鑑を持って教室に行きます。

 

こうした遊び、活動を通して「危険」「時間を守る」「調べてみる」「仲間と協力する」などといった

「かかわり方」「学び方」を理解していくのだと思います。

 

校長先生! また行こうね!!

休み時間に誘ってきたときの表情とは明らかに変わっていました。

 

裏話…。

私が子供たちと一緒にグラウンドで虫を追いかけているとき、

何やら、お客様がやってきました。

「職員室に行ったら、『校長先生はグラウンドに…。』と言われたので…。」

と言って虫網を持った大男は、そのお客様から名刺を渡されました。

 

私は、『すいません、こんなところで…、すいません…。』

と平謝り。

するとそのお客様は一言…。

 

「校長先生…、楽しそうでいいですね。」

 

汗だくになっている私は、

『ですね。楽しいですよ。』

と答えたのでした。

 

スポットクーラー稼働!

公務補、事務員の活躍で、子供たちの学びを保障できました。

子の言葉

 7月1日~19日までの期間、今年度最初の「学校評価アンケート」をお願いしています。

御覧のように、今年度からネット上で回答できるように設定しています。

「学校評価アンケート」は、保護者、職員、児童に回答をもらいます。

聞き方は違うものの、同じ観点の設問から、認識の相違点を明確にし、

今後の学校運営に生かす目的があります。

 

さらに、今年度、保護者自由記述には、

「子育ての悩み」「学校への要望・感想」を、

児童自由記述には、

「こうするともっと渚滑小がよくなること」

を追加しました。

 

開始4日が過ぎましたが、早速、保護者の方からの回答があり、

「学校職員全員で子供たちを育ててくれている。感謝している。」

や、

「子に関する情報をすぐにくれるので、うれしい。」

など、職員の背中を押してくださる言葉がありました。

 

 子供の自由記述を見ると、

「学校のみんなが仲良くていい。」

「先生たちがやさしい。」

という肯定意見が多く、

要望として、

「家庭のことをみんなで話し合う時間が欲しい。」

「卓球部屋をなくさないで増やしてほしい。」

 

といった、前向きで質問の意図を理解した回答が多いです。

卓球部屋は4月からあった部屋ではなく、

体育館床改修に伴い、教頭、指導部が中心にセッティングした

運動量の確保のためのものでした。

 

 笑顔いっぱいの学校、築く子のために頑張るのは、職員の思いだけでは達成できません。

子の思い、保護者の皆様の悩みを共有することも大切です。

 

 みなさんの言葉をお待ちしています。

明日、保護者の皆様には、「まちこみメール」で、再度、アンケートアドレスを送信します。

 

【朝のあいさつ‐めんこいなぁ】

多面的に見る

 昔の私は、周りで起こったトラブルの原因を作ったのは、

「あなたでしょ!」

と言われることが多い少年でした。濡れ衣ともいいますか…。

 そう思われるような行動をとることが多かったので、仕方ないものと

言い聞かせていましたが…。

 

 このような判断は、「一面」しか見ていないからかもしれません。

最近、「多面的に物事を観る」ことが大切だと言われています。

 でも、多面的…って言われても何のことか分かりませんよね。

 

 学校の掲示物の中に、次のような物がありました。

「見方を変えるといいところいっぱい」という見出しです。

うるさい→伝えたいことがいっぱい

 のように見方を変える(リフレーミングする)と、自分や他人の「気付くことが多くなる」ということです。

 

 この題材をもとに、全校朝会でこんな話をしました。

「保健室の前に、見方を変えるといいところいっぱいって書いてあるけど、

校長先生が話す中に登場する人の、いいところ探してね。」

 

 子供たちは「うんうん」とうなずいています。

 

 

小学校5年生のクラスに、〇〇くんていう男の子がいてね、

その男の子は、とにかく暴れん坊で、人の話も聞かずに、好き勝手する男の子。

ここまでで、〇〇くんのいいところあった?

 

「最悪!!」

 

 ある日、理科室で実験していたら、〇〇くんが、いきなりとなりの女の子に

水をぶっかけたんだ。

「ひど!」

「うわ…。」

 

 いいところある?

「全然ないよ…。」

 

その女の子は、おとなしい子で、自分の思いもなかなか言えない子でさ。

水をかけた〇〇くんは職員室に連れていかれて、さんざん叱られた。

「なんてひどいことするんだ!!」ってね。

 

でも、この話には続きがあって、

水をかけられた女の子は、後になって〇〇くんにこう言ったんだ。

 

「ありがとう…。」って。

 

『ええええ!???』

『なんで!???』

 

さぁ、周りの人と相談してごらん。

 

 子供たちは一斉に考えを共有し始めました。

 では聞くよ。なぜ、「ありがとう」と言ったんだろう…。

 

「多分、その女の子は暑くて言えなかったから、水を掛けてくれてありがとう。だと思う。」

 

 このように、子供たちは、女の子の行動の理由を考え、発表しています。

自分の考えをもち、話に興味があれば自然と話をしたくなるものです。

 

「実はね…。」

この女の子は、「おしっこ」をもらしちゃったんだよ。

というと、数人が、「ああ!!!!!」

という、気付きの声を挙げました。

 

「もらしちゃったことを、周りの人にばれないように、

わざと水を掛けたんだ!」

「そうかぁ!!」

 

 でもさ、見方を変えていいところを見るって言っても、

結局は、見た目で判断されるってことじゃないの?

 

 と子供たちを揺さぶると、

一斉に、

「うううう~んん????」

とうなります。

 

これが大事なのです。

当たり前と思っていたことの視点を変えることで、思考することを始めるのです。

 

 校長先生がみんなに伝えたいのはね、

「どんなに善い行動にも悪い行動にも、そうする理由が必ずあるってこと。

見える結果だけを見てその理由を考えないで、勝手に決めつけて判断しないでほしいんだよ。

そうすれば、いろんな気付きが増えるはずですよ。」

 

物事を多面的に観ることの話は終了です。

 

 話は変わりますが、

子供たちの前で話すとき、子供が話にくらいついている「眼」をみると、

なんだかこちらまで力が入る思いです。

 

 子供たちに、こういう「眼」をさせる活動や授業を展開していきたいものです。